「最近、若手社員からLGBTQ+に関する声が上がったものの、具体的に何から手をつければ良いのか、悩んでいませんか?」企業においてダイバーシティ&インクルージョンへの注目が高まる中、LGBTQ+への対応は喫緊の課題となっています。しかし、多くの企業ではこのテーマが「遠い問題」「一部の人の話」として認識されがちです。実は、見過ごされがちな社員の「無理解」こそが、企業にとって大きなリスクとなり得ることをご存知でしょうか。LGBTQは無視できない数だけ存在している。電通ダイバーシティ・ラボの「LGBTQ+調査2023」によると、日本においてLGBTQ+層に該当する人は約9.7%にのぼるとされています。これは、もし40人のクラスがあれば、その中に3〜4人の性的マイノリティの当事者がいる計算です。この比率は、皆さんの組織にも、すでに多くの関係者が関わっている可能性がありそうです。この記事では、性的マイノリティの人々が社会で直面する具体的な「問題点」を深掘りし、LGBTQ+を「理解」することがどのように企業経営を促進していくか解説します。LGBTQだけじゃない?知っておきたい多様な性の基礎知識多様な性のあり方を表す基本的な用語を解説します。LGBTQ+の各要素を理解する「LGBTQ+(エルジービーティーキュープラス)」は、性的マイノリティを表す総称の一つとして広く使われています。それぞれの文字が示す意味を確認しましょう。L:Lesbian(レズビアン)心の性が女性で、好きになる性も女性である、女性の同性愛者を指します。G:Gay(ゲイ)心の性が男性で、好きになる性も男性である、男性の同性愛者を指します。B:Bisexual(バイセクシュアル)好きになる性が女性にも男性にも向いている、両性愛者を指します。T:Transgender(トランスジェンダー)生まれた時に割り当てられた性(身体の性)と、自身が認識している性(心の性、性自認)が一致しないため、身体の性に違和感を持つ人を指します。性別適合手術の有無やホルモン治療の有無は関係なく、性自認が本人の性別です。Q:Questioning(クエスチョニング)自分の性自認や性的指向が定まっていない、あるいは意図的に定めていない人を指します。「Q」は「Queer(クィア)」を指すこともあり、これはかつて差別的な意味合いで使われた言葉ですが、近年では、LGBTQ+当事者がポジティブな意味合いで用いることもあります。LGBTQ+の「+(プラス)」とは?LGBTQの「+(プラス)」は、上記の頭文字だけでは表現しきれない、さらに多様な性のあり方が存在することを示しています。性的マイノリティといっても、容易に一括りにすることはできません。以下に代表的な例を挙げます。Aセクシュアル(アセクシュアル、エイセクシュアル)他者に対して性的欲求を抱かない人を指します。Aロマンティック(アロマンティック)他者に対して恋愛感情を抱かない人を指します。性的欲求と恋愛感情は別の概念であり、アセクシュアルでありながら恋愛感情を抱く人、アロマンティックでありながら性的欲求を抱く人もいます。パンセクシュアル(Pansexual)性的指向が相手の性別にとらわれない人を指します。「全て」を意味するPanが語源であり、性自認が男性、女性、Xジェンダーなど、あらゆる性別の人に恋愛感情や性的欲求を抱く可能性があります。Xジェンダー(エックスジェンダー)自身の性を、男女いずれかにも限定しない性自認を持つ人を指します。男性でも女性でもない、どちらでもない、両方の性を持つと感じるなど、そのあり方は多様です。これらの他にも、まだ知られていない、あるいは言葉になっていない多様な性のあり方が存在します。「+」は、そうしたすべての人々を表す意味合いを持っています。全ての人に関わる概念「SOGI/SOGIE」とは近年、「LGBTQ」に代わって、より広い概念として「SOGI(ソジ、ソギ)」という言葉も広く使われるようになりました。これは、以下の頭文字を取ったものです。S:Sexual Orientation(性的指向)どのような性別の人を好きになるか、恋愛や性愛の感情の方向を表します。G:Gender Identity(性自認)自分の性をどのように認識しているか、いわゆる「心の性」を指します。さらに、ここに「Gender Expression(性表現)」の「E」を加えて「SOGIE(ソジー、ソギー)」と表現されることもあります。SOGIやSOGIEの概念が重要視されるのは、「全ての人に性的指向や性自認(そして性表現)の要素が備わっており、特定のマイノリティだけでなく、私たち一人ひとりの『性』のあり方を指す言葉である」という視点を含むためです。つまり、「自分の性」もまた「多様な性」の一つであり、男性、女性、そしてそれ以外の様々な性のあり方が、すべて等しく尊重されるべきだというメッセージが込められています。“性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity ) の頭文字をまとめて、SOGI(ソジ)と表現されます。性的少数者の方もそうでない人も、みんなが多様な性の当事者です。”法務省: 多様な性への理解と対応ハンドブック企業において多様性を理解し、インクルーシブな環境を構築するためには、これらの基本的な用語を正しく認識することが必要です。学校生活から社会へ…LGBTQ+当事者が経験する困難を紹介性的マイノリティの人々が直面する困難は、企業に入って初めて始まるわけではありません。むしろ、彼らの多くは思春期の学校生活から、そして時には家庭内でさえも、「当たり前ではない」状況に直面し続けています。近年LGBTQ+への理解は深まってきていて、当事者を取り巻く環境はかつてないほどに良くなっています。しかし、過去の経験が原因で本来の自分に自信を持てない当事者は、まだたくさんいます。このような当時の経験を理解し、LGBTQ+方々が自信を持って仕事に取り組める環境を作ることも企業としての取り組みの一環になります。ここでは、当事者が経験する困難について環境別に紹介します。学校での困難いじめ学校では「男のくせに」「気持ち悪い」「おカマ」「ホモ」「レズ」といった、心ない侮蔑的な言葉がいじめやからかいの温床となることがあります。もちろん、子供による、深い意味を持たない冗談のケースが多いです。しかし、このような言葉は、若い彼らの自尊感情を傷つけ、自己肯定感を低下させます。さらに、家庭内において自身の性が理解されず、虐待を受けたり、精神的な支援が欠如したりするケースも存在します。また、教員によるハラスメントがあるとの報告もあります。 “LGBTQの中高生の89.5%が、過去1年に学校で困難やハラスメントを経験。なお、63.8%は教職員に由来するものでした。” 認定NPO法人 ReBit「LGBTQ子ども・若者調査2025」当事者は、この子供の頃の経験により、「誰にも自分のことを知られたくない」という思いから、孤立を深めることがあります。相談できる相手や場所が見つからず、不登校に追い込まれたり、最悪の場合には精神的な危機に陥る可能性もあります。こうした幼少期や思春期の経験は、その後の社会人生活においても、自身のアイデンティティを隠そうとしたり、人間関係を構築する上での心理的なハードルとなったりすることが少なくありません。医療機関での困難適切な医療機関がみつからない自身の性自認と生まれた時に割り当てられた性(身体の性)が一致しないトランスジェンダーの人々は、適切な医療機関を見つけることができず、症状が悪化してから受診することがあります。また、医療従事者側の知識不足や、時には偏見に直面することで、必要な治療やカウンセリングをためらうことになりかねません。手術同意書にサインできない同性のパートナーを持つ人々は、法的な関係性が認められないことで、パートナーが緊急手術を必要とするような状況に陥った際、家族として手術同意書にサインできないという状況があります。。パートナーが意識不明の重体で入院しても、医療機関から安否や治療内容に関する情報を教えてもらえないこともあります。“LGBTQの8割が障害や生活困窮に関する行政・福祉サービスを利用した際にセクシュアリティに関連した困難を経験し、その影響で3人に1人が病状悪化、5人に1人が自殺念慮・未遂に繋がっていることが明らかになりました。また、医療サービスを利用した際にトランスジェンダー男性・女性の8割がセクシュアリティに関連した困難を経験し、その影響で4割が体調が悪くても病院に行けなくなり、4人に1人が自殺念慮・未遂に繋がる” 認定NPO法人ReBit「LGBTQ医療福祉調査2023」職場での困難就職時面接でカミングアウトをした際に、精神的に変わっている人はね。と言われ拒否された事例があります。ハラスメント職場においては、無意識のうちに行われる差別やハラスメントが頻発する可能性があります。中でも深刻なのはアウティングと呼ばれる行為です。本人の同意なく性的指向や性自認を第三者に暴露する行為であり、離職に繋がるだけでなく、企業にとっても訴訟リスクを抱えてしまう大きな問題です。また、昇進やキャリア形成において、個人の能力や実績ではなく、性的指向や性自認といった要素が不当な評価に繋がることもあります。福利厚生福利厚生の面でも不平等が生じがちです。現行法上、同性パートナーは法律上の配偶者と同等には扱われにくいため、扶養手当、家族手当、育児休暇や看護休暇といった、異性間の夫婦であれば当たり前に享受できる制度の対象とならない状況も見られます。LGBTQ+の問題に対して実際に企業ができる取り組みは?企業がLGBTQ+に関する取り組みを進めることは、多様性を尊重し、すべての従業員が働きやすい環境を構築するために非常に重要です。多様な人材が安心して働ける環境は、従業員のエンゲージメント向上やイノベーションの創出につながり、結果として企業の成長を促進します。社内研修・e-ラーニングe-ラーニングは、時間や場所を選ばずに学習できるため、従業員が手軽に取り組める点が大きなメリットです。基本的な用語や概念、当事者が直面する課題などを効率的に学ぶことができます。一方で、社内研修は、参加者同士の対話やワークショップを通じて、より深い理解と共感を育むことができます。具体的な事例を共有したり、ロールプレイングを行ったりすることで、日々の業務における実践的な対応力を養うことが期待されます。これにより、無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)に気づき、解消するきっかけにもなります。これらの取り組みは、従業員一人ひとりの意識改革を促し、LGBTQ+当事者にとって心理的に安全な職場環境を構築する上で不可欠です。LGBTQ Ordinaryは、企業向けのLGBTQに関する社内研修・e-ラーニングを提供しています。LGBTQ Ordinary 社内研修・e-ラーニング支援について詳しく見る相談室の設置相談室の設置は、LGBTQ+当事者が安心して悩みを打ち明けられる場を提供し、企業がより働きやすい環境を構築するための重要な取り組みです。相談室は、性的指向や性自認に関する悩み、職場でのハラスメント、カミングアウトに関する不安など、当事者が抱えるデリケートな問題に対して、専門的なサポートを受けられる安全な場所となります。これにより、精神的な負担が軽減され、安心して業務に集中できる環境が整います。また、相談室は単に問題解決の場に留まらず、当事者からの声やニーズを直接吸い上げることで、企業の多様性促進に向けた具体的なアイデアや改善策が生まれる場でもあります。例えば、福利厚生の拡充や社内制度の見直しなど、より包括的な施策へと繋がる可能性があります。相談室の設置は、当事者にとってのセーフティネットであると同時に、企業全体のダイバーシティ&インクルージョンを推進するための貴重な情報源となります。福利厚生福利厚生においては、同性パートナーシップ制度の導入が代表的です。これにより、同性パートナーを持つ従業員も、慶弔休暇や家族手当、住宅手当、介護休暇といった福利厚生を、法律婚の配偶者と同様に利用できるようになり、安心して働くことが可能になります。また、性自認に基づく名称変更の柔軟化も重要です。履歴書や社内システム上での性別記載を任意にしたり、性自認に基づいた名前での呼称を許可することで、性自認と異なる性で扱われることによる精神的負担を軽減できます。採用・雇用管理採用・雇用管理においては、まず差別のない採用活動が求められます。募集要項や面接で性的指向や性自認に関する不適切な質問を避け、性別欄を任意にする、あるいは削除することも有効です。企業のウェブサイトや採用情報に、LGBTQ+を含む多様な人材を歓迎するメッセージを明確に記載することで、潜在的な候補者に安心感を与え、ダイバーシティ&インクルージョンへのコミットメントを明示することも大切です。採用担当者に対しては、LGBTQ+に関する基礎知識やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に関する研修を実施し、公平な選考ができるように促します。昇進や配置転換、評価においても、性的指向や性自認によって不利益が生じないよう、キャリア開発・評価制度の公平性を確保し、明確な基準と透明性のあるプロセスを設けるべきです。そして、性的指向や性自認に関する差別やハラスメントを禁止する明確なポリシーを策定し、周知徹底するとともに、相談窓口の設置や迅速な対応体制を整備することで、ハラスメント対策を徹底することが不可欠です。まとめ今の時代、企業のLGBTQ対応は必要不可欠なものとなりました。多様な人材が安心して働ける環境は、企業の成長を促進させます。しかし、ダーバーシティの促進には時間や費用面におけるコストがかかるのもまた事実です。O-DINARY for the Companyでは、企業のLGBTQ対応を、“可能性”としてビジネスに活かす支援を行っています。研修体制や、相談窓口の設置、福利厚生のサポートなど、LGBTQ専門企業として御社をワンランクアップさせるお手伝いをしております。多様な個性が輝く職場は、従業員のエンゲージメントを高め、組織の創造性と生産性を飛躍的に向上させる力を持っています。私たちと共に、LGBTQ+フレンドリーな環境を構築し、企業の新たな価値と競争力を創造しませんか?LGBTQ Ordinaryについて詳しく見る