「好きな人と結婚したいだけなのに、どうして自分たちはできないんだろう」同性のパートナーと暮らす人が、ふとそう感じる瞬間があります。日本では2026年6月現在、同性どうしの法律婚は認められていません。けれど、それを問い直す裁判が全国で起こされ、判断は今、最高裁に委ねられています。この記事では、同性婚をめぐる日本の法的な現状と、「結婚の自由をすべての人に」訴訟がどこまで進んだのかを、事実と出典にもとづいて整理します。自治体のパートナーシップ制度については別の記事で扱い、ここでは訴訟と立法の動きに焦点をあてます。1. 日本ではいま、同性婚は法律上認められていない日本の民法と戸籍法は、婚姻を男女のあいだのものとして運用しており、同性どうしの婚姻届は受理されていません。これは2026年6月時点の現状です。そのため、同性のカップルは、相続、税制上の配偶者控除、医療現場での同意、在留資格など、法律婚に結びついたさまざまな権利や手続きから外れた状態に置かれています。一方で、この状態が憲法に反するのではないかという問いが、裁判というかたちで正面から争われてきました。それが「結婚の自由をすべての人に」訴訟です。2.「結婚の自由をすべての人に」訴訟とは「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、同性カップルが法律婚できないのは憲法に違反するとして、国に損害賠償を求めて起こした一連の集団訴訟です。2019年に札幌・東京・大阪・名古屋・福岡の各地方裁判所で提訴され、東京では二次訴訟も加わって、全国で計6件が争われてきました。争点となっているのは、おもに次の憲法の条文です。法の下の平等を定めた憲法14条1項、婚姻は「両性の合意のみに基いて成立」すると定めた24条1項、そして婚姻や家族に関する法律は「個人の尊厳と両性の本質的平等」に立脚して定められなければならないとする24条2項です。裁判所がこれらの条文に照らして「違憲」「違憲状態」「合憲」のいずれと判断するかが、各判決のポイントになってきました。3. 地裁・高裁の判断はどう推移したか一審の地方裁判所では、判断が分かれました。2021年3月17日の札幌地裁は憲法14条1項に反するとして「違憲」と判断し、最初の踏み込んだ判決として注目されました。その後、東京地裁(2022年・一次)、名古屋地裁(2023年)、福岡地裁(2023年)などが、24条2項を中心に「違憲」または「違憲状態」と評価する一方、大阪地裁(2022年)は合憲と判断しています。控訴審の高等裁判所では、より明確に制度の問題を指摘する流れが続きました。札幌高裁(2024年3月14日)、東京高裁一次(2024年10月)、福岡高裁(2024年12月)、名古屋高裁(2025年3月7日)、大阪高裁(2025年3月25日)が、いずれも現行制度を憲法に反する、または違憲とする判断を示しました。福岡高裁の判決は、幸福追求権の観点に触れた点でも報じられています。弁護士会からは、これらを受けて「5つの高裁すべてが違憲判決を言い渡した」として、早期の法整備を求める声明も出されました。4. 2025年11月28日、東京高裁(二次)の合憲判断この流れのなかで、2025年11月28日、東京高等裁判所(二次訴訟)は、同性婚を認めない現行制度について憲法24条1項・2項および14条1項に「違反しない」として、高裁段階では初めての合憲判断を示しました。ただし、裁判長は判決のなかで、現在の状況が続けば「いずれ憲法違反が生じることは避けられない」との見通しを述べ、まず国会で十分に議論されるべきだとも指摘したと報じられています。合憲としつつも、立法による対応の必要性に踏み込んだ内容といえます。この判決は全国6件のうち最後に出された高裁判決で、結果として高裁の判断は「5件が違憲、1件が合憲」と割れることになりました。5. 最高裁の大法廷へ──統一判断はこれから高裁の判断が分かれたことを受け、最高裁判所第三小法廷は2026年3月25日、これら6件の訴訟を大法廷へ回付することを決めました。大法廷は15人の裁判官全員で審理する場で、憲法判断や判例変更にかかわる重要な事件が回されます。今回、最高裁が同性婚をめぐって初めての憲法判断を示すとみられ、原告側と国側の主張を聴く弁論を経たうえで、判決が言い渡される見通しです。つまり2026年6月時点では、同性婚は法律上まだ認められていませんが、その合憲性をめぐる最終的な判断は最高裁大法廷に委ねられている、という段階にあります。6. 司法と立法、それぞれの役割ここまでの判決の多くが指摘してきたのは、最終的に制度をつくるのは国会だという点です。裁判所が違憲・違憲状態と判断しても、それだけで婚姻届が受理されるわけではなく、民法や戸籍法の改正という立法の動きが必要になります。だからこそ、最高裁がどのような判断を示すか、そしてそれを受けて国会がどう応えるかが、今後の焦点になります。司法の判断と立法の対応は、車の両輪のような関係にあります。同性婚をめぐる議論は、特定の誰かのためだけのものではありません。「結婚するかどうか」「誰とするか」を、その人自身が選べる社会をどうつくるか、という問いでもあります。LGBTQ研修・相談なら O-DINARYO-DINARYは、LGBTQに関する正確な知識を、当事者にもアライにも届けることを大切にしています。法制度の動きは複雑で、報道だけでは全体像がつかみにくいこともあります。職場でのLGBTQ理解を進めたい、社内研修やeラーニングを検討したい、相談窓口を整えたいといったご相談は、O-DINARYへお寄せください。事実にもとづいた、わかりやすい支援をご提供します。出典(2026年6月 再確認済み)時事ドットコム https://www.jiji.com/jc/article?k=2026032500878&g=socMarriage For All Japan https://www.marriageforall.jp/CALL4 https://www.call4.jp/info.php?id=i0000031&type=itemsWikipedia(同訴訟) https://ja.wikipedia.org/wiki/「結婚の自由をすべての人に」訴訟Marriage For All Japan https://www.marriageforall.jp/topics/6070/日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC170G50X10C21A3000000/東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/253435大阪地裁合憲(日経) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF3080P0Q2A630C2000000/札幌高裁違憲(北海道合同法律事務所) https://www.hg-law.jp/column/LGBT/entry-3208.html東京高裁一次違憲(MFAJ) https://www.marriageforall.jp/topics/4411/名古屋高裁違憲(日経) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE042HX0U5A300C2000000/大阪高裁違憲(日経) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF14AQ50U5A310C2000000/札幌弁護士会 会長声明 https://satsuben.or.jp/statement/2025/04/17/921/時事ドットコム(東京高裁二次合憲) https://www.jiji.com/jc/article?k=2025112800110&g=socPRIDE JAPAN(大法廷回付) https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2026/03/9.html