「SOGIって、LGBTの言い換えでしょう?」そう思っている方は、少なくありません。けれど実は、この二つは指しているものが違います。そして「SOGI」は、性的マイノリティだけの話ではなく、あなたを含めたすべての人に関わる言葉です。この記事では、内閣府や宍粟市などの公的資料をもとに、SOGI・SOGIEとは何か、そして「LGBTQ+」との違いをやさしく整理します。1. SOGI(ソジ)とは何かSOGIとは、性的指向を示す「Sexual Orientation」と、ジェンダーアイデンティティを示す「Gender Identity」の頭文字をとった略称です。読み方は「ソジ」または「ソギ」です。内閣府のパンフレットでは、SOGIについて「身体的な性などと共に、人間の性を構成する要素であり、誰もが有しているもの」と説明されています(内閣府, 2023年)。つまりSOGIは、一部の人だけが持つ特別なものではありません。性別を問わず、すべての人が自分のSOGIを持っています。2. 「性的指向」と「ジェンダーアイデンティティ」の定義二つの要素は、2023年に施行された理解増進法のなかで、それぞれ定義されています。性的指向(Sexual Orientation)とは、理解増進法では「恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向」と定義されています。「男性が好き」「女性が好き」「男性と女性の両方が好き」「どちらも好きではない」など、好きになる性のあり方を指します。ジェンダーアイデンティティ(Gender Identity)とは、理解増進法では「自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識」と定義されています。「私は女性である」「私は男性である」といった、自分の性別についての一貫した認識のことです。なお、ジェンダーアイデンティティは「性自認」と呼ばれることもあり、自治体資料などでは「心の性」とやさしく言い換えられる場合もあります(宍粟市資料)。3. SOGIE・SOGIESC — さらに広がる考え方近年は、SOGIに性表現(Gender Expression)の「E」を加えた「SOGIE(ソジー)」という言い方が広がってきています。性表現とは、服装や髪型、しぐさ、言葉づかい、一人称など、外から見える性のあらわし方を指す概念で、「見た目の性」と呼ばれることもあります(宍粟市資料)。さらに、これに性的特徴(Sex Characteristics)を加えた「SOGIESC」という表現が使われることもあります。いずれも、人の性をより細やかな要素に分けてとらえようとする考え方です。4. 「LGBTQ+」との違い — 「人」か「要素」かここが、最もつまずきやすいポイントです。LGBTQ+とSOGI/SOGIEは、似ているようで指しているものが異なります。LGBTQ+は、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなど、特定の性のあり方を持つ「人」を表す言葉です。一方でSOGIEは、好きになる性・心の性・見た目の性という、誰もが持っている「性の要素そのもの」を表しています(宍粟市資料)。そのため、SOGIは性的マイノリティの人だけでなく、心と体の性が一致し異性を好きになる人も含めて、すべての人が持っているものとして語られます。宍粟市の資料はこの違いを「SOGIEは自分ゴト・誰もが当事者」と表現しています。性のあり方を「自分とは違う人たちのこと」と切り離すのではなく、「自分自身の問題」として考えやすくする点に、SOGIEという概念の意義があるとされています。5. なぜ今、SOGIという言葉が使われるのかSOGIは、もともと国際的な人権の文脈で広く用いられてきた概念です。宍粟市の資料によれば、SOGIは2006年以降、国際連合の諸機関で広く用いられている概念であり、2011年の国連人権理事会における「SOGIに関する人権決議」(決譩17/19)には日本も賛同しています。国内でも、2016年の文部科学省の文書のなかでこの表現が記されています(宍粟市資料)。そして2023年6月23日、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(理解増進法、令和5年法律第68号)が公布・施行されました(参議院/e-Gov法令ほか)。内閣府によれば、この法律は、SOGIは誰もが持つものであり、そのあり方は人それぞれで多様であることを一人ひとりが理解し、互いのSOGIを等しくかけがえのない個人として尊重し合える共生社会の実現を目指すものです。なお、特定の誰かに新しい権利を与えたり、個人の行動を制限したりする規定は含まれていません(内閣府, 2023年)。「SOGIハラスメント(SOGIハラ)」という言葉も、性的指向や性自認に関するいじめ・嫌がらせを指して、LGBTQ+に限らない幅広い課題として使われるようになっています。LGBTQ研修・相談なら O-DINARYSOGI・SOGIEは、「誰か特別な人の話」ではなく、職場や学校、家庭にいるすべての人に関わる考え方です。だからこそ、正確な知識を土台にした理解の場づくりが大切になります。O-DINARYでは、LGBTQ/SOGIに関する基礎知識の研修・eラーニング教材の提供や、当事者の声をふまえた相談対応の設計をお手伝いしています。「まず社内の共通言語をそろえたい」「SOGIハラを防ぎたい」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。出典(2026年6月 再確認済み)内閣府「SOGIの多様性に関する理解と尊重を目指して」 https://www8.cao.go.jp/rikaizoshin/koho/pdf/sogi.pdfe-Gov法令/日本法令外国語訳DB https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4835宍粟市「『LGBTQ+』から『SOGIE』という考え方へ」 https://www.city.shiso.lg.jp/material/files/group/40/lgbtq_sogie.pdf宍粟市資料/Human Rights Watch https://www.hrw.org/ja/news/2011/06/17/243297e-Gov法令/参議院議案情報 https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC1000000068