「あのね、実は……僕、ゲイなんだ」そう打ち明けられた瞬間、頭が真っ白になって、なんて返せばいいか分からなくなった。そんな経験、ありませんか。友だちかもしれないし、同僚かもしれない。家族のこともあると思います。大切な人だからこそ、変な反応をして傷つけたくない。でも、何を言えば「正解」なのかが分からない。・・・あの数秒の沈黙の重さを、僕は打ち明ける側としても、打ち明けられる側としても知っているつもりです。今日は、その「なんて返せばいいんだろう」に、僕なりの答えを書いてみます。打ち明けた側も、ものすごく緊張しているまず知っておいてほしいのは、カミングアウトする側も、たぶんあなたと同じくらい——いや、それ以上に緊張している、ということです。何日も、何週間も、ときには何年も迷って、ようやく言葉にしている人が多いと思います。「言ったら関係が変わるかもしれない」「引かれるかもしれない」。そういう怖さをぜんぶ抱えたまま、それでもあなたに伝えることを選んでくれた。だから、あなたが「なんて返そう」と焼るのと同じくらい、相手も「どう受けとめられるんだろう」と、あなたの最初の表情を見ています。たいていの人が求めているのは、特別扱いじゃない打ち明けられると、つい「力にならなきゃ」「ちゃんとした言葉をかけなきゃ」と気負ってしまう。その気持ち自体は、とてもやさしいものだと思います。でも、当事者の多くがいちばん望んでいるのは、特別扱いされることではないと、僕は感じています。急に腫れ物に触るような態度になられたり、「大変だったね」「かわいそう」と過剰に同情されたりすると、かえって「ああ、やっぱり“ふつうじゃない”扱いなんだ」と感じてしまうことがあるんです。打ち明けた側が本当に欲しいのは、たぶんもっとシンプルなもの。「へえ、そうなんだ」と、これまでと変わらず接してもらえること。・・・その「変わらなさ」が、いちばんの安心になることが多いと思います。まず言ってもらえると嬉しい、ひとことそれでも「最初の一言」に迷う人は多いと思うので、僕が思う“いちばん外さない返し”を書いておきます。それは、「話してくれてありがとう」。これは、相手が払った勇気にちゃんと気づいている、という合図になります。賛成とか反対とか、評価する必要はありません。アドバイスもいりません。ただ、打ち明けてくれたこと自体を受けとめる。それだけで、相手の張りつめていたものは、ふっとほどけることが多いと思います。そのあとに「これからも変わらないよ」と続けられたら、もう十分すぎるくらいだと思います。完璧じゃなくて、いいここまで書いておいてなんですが、「正しい返し」をしようと気負いすぎなくて大丈夫です。うまく言葉が出てこなくて「えっと……ありがとう、なんて言えばいいか分からないけど、嬉しい」でも、十分に伝わります。むしろ、取りつくろわずに正直でいてくれるほうが、相手は安心することもあると思います。聞いてはいけないこと、踏み込みすぎかな、と迷ったら、「聞いていいか分からないんだけど」と前置きしてから尋ねればいい。完璧な理解者にならなくていいんです。「分かろうとしてくれている」——その姿勢こそが、いちばん伝わります。あなたが受けとめてくれたことカミングアウトは、相手があなたを信頼している、という証でもあります。そのことに気負いすぎず、でも軽んじず、これまでと同じあなたで隣にいてくれたら。それだけで、打ち明けた人にとっては、世界が少しだけやさしくなる。僕は、そう思っています。ひとりで抱えなくていい打ち明けられて戸惑ったあなたも、打ち明けるかどうか迷っているあなたも、その気持ちをひとりで抱え込まなくて大丈夫です。O-DINARYでは、当事者やその周りの人たちが、肩の力を抜いて集まれる場をつくっています。「こんなとき、どう返すのが正解だったんだろう」——そんな小さな問いを、誰かと話してみたくなったら、いつでも覚いてみてください。